子どもの未来を信じよう

各年齢ごとの発育過程と具体的教育法をまとめました。

まずは全体像を図でイメージし理解してから、個々の記事を読んでください。

各年齢ごとの発育過程と具体的教育法

少し難しい図ですので、わかりやすく植物に例えてみます。

0~3歳 3~6歳…「種」の時期です。

「親である大人」の役割で最も重要なのは、種が育つための「土づくり」です。土は親の愛情であり、種が育つための環境となります。
種が「芽」を出し、大きく伸びていけるかどうかは、育つ環境に大きく依存します。たっぷりと注がれた家族の愛情に加えて、兄弟や身近な人との関係やコミュニケーション、友達とのあそび、家庭のさまざまな習慣、さらには住んでいる地域の環境、自然や文化的なものに触れるチャンスといったあらゆるものが、子どもの五感を育み、適応していく力を養うための土壌になるのです。

6歳~9歳…「芽」の時期です。

「芽」は、水やりのタイミングや量、温度や湿度といったさまざまな条件が見事に重なったときに、ようやく出てきます。
心にとどめておいてほしいことは、すべての種が同じタイミングで芽を出し、同じ背丈に生長し、同じ花を咲かせ、実を結ぶわけではないということです。
種ひとつひとつに個性があるので、はやく芽を出す種もあれば、のんびりおっとりの種もあるのです。急にいろいろな芽が出てきて、子どもの見え方が変わって、びっくりすることもあるでしょう。逆に、なかなか芽が出ないことだってあります。「早く伸びて!」と急かしたからといって、伸びるものでもありません。あせらず、欲張らず、芽の成長を待ちましょう。
また、芽生えの時期は、子どもの五感を養い、人生を豊かにする力をインプットする大切な時期にあたります。たくさんの体験をさせてあげましょう。

大人の役割は、「おしえる」ことです。
体験するチャンスを、夏の暑さや冬の寒さを、桜の息吹や秋の夕暮れを感じるセンスを、心のあれこれを、友達とのあそびかたを、親の無条件の愛情を、社会のマナーを、そして、ありがとうの気持ちを。
子どもが必要とするのは、おしえられる大人なのです。

9~12歳…「幹」の時期です。

芽を出した種は、根・幹・枝をグングン伸ばしていきます。
身長だけでなく、子どもが最も「伸びる」時期です。

このとき伸ばす枝は、勉強だけではありません。絵が得意な子、走るのがはやい子、泳ぐのが得意な子、歌うのが上手な子、本を読むのが大好きな子、暗気力が抜群にいい子、計算がものすごくはやい子。
何だっていいのです。
もちろん、全てが同じように伸びるわけではありませんが、早いうちから「サッカーだけ」「勉強だけ」など限定しないでください。
また、ひとつにしぼれば伸びるかと言えば、そうでもないからです。
たとえば、勉強以外の枝を全部切りはらって、勉強だけをやらそうとすると、バランスがとれず、いつか倒れてしまいます。
私がつねに「文武両道」を謳っているのは、文武両道バランスがとれていて、結局は強いからなのです。
この時期の大人は、子どもにとって「添え木」のような存在です。
まだ十分には自立していない身体で、いろいろな方向に枝を伸ばそうとしている子どもを、支えているのです。
そんな大人の役割は、「守りながらおしえる」ことです。
添え木を添えることもできないぐらい小さな時期には、傾いてしまいそうな幹を戻してあげるなど、手をかける大人が必要でした。それが、だんだん幹が自分で立てるようになってくると、添え木が寄り添い、おおまかな導きをしながら見守る形に変わっていきます。

このとき、時間の使い方や勉強のための習慣づくりにも、力を入れましょう。そのうち、伸びる方向性や、勉強やスポーツのやり方の枠ができてきます。

12~15歳…「花」の時期です。

子どもが自律できるようになったら、「花」を探して、見える化してあげましょう。受験勉強だって「がんばった」「やりきった」という達成感があれば、ひとつの花が咲くのです。
努力してがんばった成果として咲いた花は、それを見た人にほめてもらえます。
そして、「きれいな花が咲いたね!すごいね」の言葉は、子どものさらなる自信につながります。大人の役割は、子どものがんばりを「認める」ことです。

16歳~…さあ、いよいよ結実です。

自信をつけ、自律できるようになった子は、いまや「自由な意志」を手に入れています。
大人の役割は、必要最低限のかじ取りだけです。子どもが目標を達成できるように、必要に応じて手を貸すことだけです。
あとは、大きな「実」がなることを信じて、そのときを待ちましょう。そして、実がなったときは、ともによろこびましょう!
「よろこぶ」ことが大人の最大の仕事だと言っても過言ではないのです。

このように、輝かしい子どもの未来を信じることが、大人の役割だと、私は考えています。